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共有物分割と遺産分割の違い

共有不動産の解消方法について,遺産分割と共有物分割,いずれの手続を選択するかが問題になります。

遺産分割とは,被相続人の遺産をどのように分割するかを決める手続です。不動産を持つ人が亡くなった場合,遺産分割を行なうまでは,各相続人の相続分に応じて不動産を共有することになります(遺産共有といいます)。一方で,遺産共有以外の理由で共有状態が発生した場合の共有状態を,物権共有といいます。

例えば,遺産分割により,共有不動産を共有する分割方法を選択した場合(共有分割といいます)は,遺産分割後の話ですので,物権共有となります。

遺産分割(遺産共有を解消する)の場合は,家庭裁判所に遺産分割調停を起こす必要があります。一方で,共有物分割(物権共有を解消する)の場合には,(原則として)地方裁判所に共有物分割請求訴訟を起こすことになります。このように,利用する手続自体が異なりますので,この区別はとても重要になります。

共有不動産について,遺産共有と物権共有が併存している場合があります。このような事例において最高裁判所は,共有物分割請求訴訟によるべきと判断しました。

具体的には,「共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい,これを有する者を「遺産共有持分権者」という。)と他の共有持分とが併存する場合,共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である」と判示しています(最二判平成25年11月29日判決)。

遺産共有と物権共有が併存している場合の分割手続は,共有物分割請求訴訟ということになります。