換価分割(代金分割)
換価分割(代金分割)は、共有不動産を一括売却し,その売却代金を各持分権者の持分割合に応じて配分する方法です。
不動産を手元に残す必要がない場合や、不動産価格が値上がりしている場合には、不動産を第三者に高く売ることによって大きな利益を得ることができます。
換価分割(代金分割)の選択
換価分割(代金分割)には、①協議(共同売却の合意)によるものと、②裁判所の関与(判決、調停・訴訟上の和解)によるものがあります。
共同売却による換価分割
共有不動産を、不動産仲介業者を通して第三者に売却し、売却代金を共有持分に応じて分配することになります。
ただし、不動産の売却には共有者全員の同意が必要になるため、1人でも売却に反対する人がいたら換価分割(代金分割)はできません。一般に、売却金額の設定、売却代金の分配方法など、売却に関して意見がまとまらず、売却手続きが停滞することがあります。
裁判所による競売(形式的競売)
裁判所による競売であれば、裁判所が手続きを遂行するため関係者によって手続きを滞らせることはできず、強制的に手続きが進み、競売による売却が実現します。
ただし、競売による売却は金額が低くなる傾向にあり、不動産鑑定評価基準において一般に30%程度減価するとされています。
共有物分割請求訴訟で換価分割(代金分割)の判決を得るには?
共有物分割請求訴訟においては裁判所が分割方法を決定するため、当事者の主張は考慮されますが、裁判所の意思決定を拘束するものではありません。
そのため、現物分割が可能である状況においては、共有者間で換価分割(代金分割)と代償分割(価額賠償)で主張が対立している場合、裁判官から「このまま判決まで行ったら現物分割を選択します。」ということもあり得ます。
このように、相手方、裁判所の心証を汲み取りながら主張・立証し、裁判をうまく進めていく必要があります。
換価分割(代金分割)メリット・デメリット
換価分割のメリット,デメリットは以下のとおりです。
メリット
・不動産の利用にこだわりがない場合,全体を現金化できる
・現金を持分割合に応じて分けますので,共有者間での不公平感は生じにくくなります。
・不動産を任意売却するので,不動産の持つ市場価格(に相当する金額)で分配することができます。持分の売却に比べて,経済的な利益が大きくなります。
デメリット
不動産の売却には共有者全員の同意が必要になります。したがって,不動産の利用にこだわりのある共有者がいる場合には,任意の話合いによる売却が困難となります。その場合には,共有物分割請求訴訟を起こし,換価分割を命じる判決を裁判所から出してもらう必要があります。
共有物分割請求訴訟をご検討の方へ
共有物分割請求訴訟においてどのような主張・立証をすれば裁判上最も有利になるのかも含めて総合的に検討した上で訴訟対応いたしますので、お気軽にご相談ください。 03-5293-1775